矯正テクニック徹底比較!

矯正について調べていくにつれ、意外とたくさんの種類の矯正テクニックがあることがわかってきます。では、どの矯正テクニックを専門とする矯正歯科医院を受診すればいいのでしょうか? ここでは、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)・ストレートワイヤー法・床矯正と、スタンダードエッジワイズ法を比較していきます。

スタンダードエッジワイズ法とマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)

◆ マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)とは?

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は、2006年から日本に導入されたアメリカの矯正テクニックです。専用ソフトにより歯の移動をシミュレーションし、透明の歯型の装置を順番に装着するもので、目立たない、患者さんがご自分で装着することができるという手軽さから、最近よく耳にするようになりました。

◆ マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)のデメリット

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)が画期的な矯正法かというと、実はたくさんの問題点があります。
まず、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の使用をおすすめできない症例がたくさんあるということ。マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は歯をたくさん動かしたり、歯の根っこを動かしたりすることには向きません。
歯のデコボコが多い方、口元全体をきれいに治療するために抜歯をしたほうがいいという方は、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)をおすすめできないことが多いのです。
また、顎の骨の前後関係が原因で歯並びに問題がある方も、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)での治療をおすすめできません。
さらに、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は、治療開始時に、食事と歯磨き以外の時間、患者さんがご自分で装着していただくことを前提に全工程分が設計されますので、患者さんが治療途中で装置の装着をさぼると、きちんとした治療が行えなくなってしまいます。ところが、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)をつけてみると、見た目以上に痛みを感じるので、患者さんはついつい装着をさぼってしまいがちのようです。
また、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)には、日本の薬事法による認可がおりていません。治療費も、通常のワイヤーによる矯正治療より20万円程度高くなってしまいます。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置『インビザライン』について

・米アラインテクノロジー社の製品の商標で、インビザライン・ジャパン社から入手しています。
・インビザライン完成物は、国内において薬機法未承認の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
・材料については日本の薬事認証を得ております。
・日本国内において承認された同様の医療機器があります。
・2021年時点では、世界100か国以上で1,000万人以上の患者様が治療されています。

スタンダードエッジワイズ法とストレートワイヤー法

◆ ストレートワイヤー法とは?

ストレートワイヤー法とは、正式にはストレートワイヤー・エッジワイズ法といい、スタンダードエッジワイズ法と同じエッジワイズ法から発展した矯正テクニックです。
スタンダードエッジワイズ法がワイヤーを複雑に曲げて歯並びをつくっていくのに対し、ストレートワイヤー法は形状記憶合金(ニッケルチタン合金)のワイヤーを用いて、ワイヤーの元の形に戻ろうとする力を利用して矯正していくというものです。
ストレートワイヤー法のワイヤーは形状記憶合金ですので、曲げたとしても、すぐ元の形に戻ってしまいます。あらかじめ理想の平均値からつくられたワイヤーのかたちに歯を並べていくといのが、ストレートワイヤー法の基本的な考え方です。

◆ 仕上がりの違い

スタンダードエッジワイズ法では、ワイヤーを複雑に曲げることで、1本の歯を移動させるためにひっぱるときに、ひっぱる支点となる歯を固定するためのロック(ループ)や、複雑な曲げ、歯の傾き(トルク)をもデザインでき、歯を一本一本丁寧に移動させることができます。

ストレートワイヤー法はそのままワイヤーを装着すればいいので、術者の技術力に結果があまり左右されませんが、いわば既製服とオーダーメイドの服の着心地が異なるように、ストレートワイヤー法とスタンダードエッジワイズ法では、仕上がりが異なります。
上顎と下顎の広さに大きな差がある場合などの“難症例”となると、ストレートワイヤー法での対応は、きわめて困難です。また、歯は、人によってかみ合わせの問題はもちろん、大きさや生え方が異なりますから、いわゆる“難症例”というほどではなくても、スタンダードエッジワイズ法でなければ対応できないケースは決して少なくありません。





歯並びとストレートワイヤーの形がまったく合わない場合も


◆ 治療にかかる時間

ストレートワイヤー法に比べ、スタンダードエッジワイズ法のほうが一回の治療に時間がかかるという意見があります。スタンダードエッジワイズ法が治療段階に対応して、その都度、ワイヤーを曲げて丁寧に歯並びを整えていくから、というのがその理由ですが、治療時間は術者の技術力によってカバーできるものです。

スタンダードエッジワイズ法と床矯正

◆ 床矯正とは?

床矯正とは、スタンダードエッジワイズ法が開発されるより前の段階で用いられていた古い矯正テクニックのひとつです。抜歯をせず、患者さんが着脱できる矯正装置(可撤式矯正装置)で矯正をおこなって、顎や歯列の幅を大きくし、歯をすべて並べてしまおうというものです。
スタンダードエッジワイズ法をはじめ、一般的なワイヤーを用いる矯正法に比べ、かなり低い料金で治療を受けることができ、また抜歯をしないという特徴から、あまり矯正治療について詳しくない方にとっては、魅力的な治療法に見えるかもしれません。

◆ 床矯正の問題点

床矯正は、子どもの一部の症例では適用可能なのですが、成人の矯正においては、ほとんどおすすめできません。
不正咬合(かみ合わせの異常)は、多くの場合、小さな顎に大きな歯、あるいは多くの歯がきれいに並びきれずに起こります。どういった場合も歯を抜かない、という前提で治療をするという考え方は、根本的な問題をはらんでいるのです。歯を抜かないことでより少ないスペースに、今ある歯をすべて並べる場合、歯の並びに無理があるので、どうしても矯正治療後、再び悪い歯並びに戻りやすくなります。場所が狭くて、どうしても入りきらない皺寄せは、多くの場合、前歯を少し前に出すことで解決されます。

矯正治療後、再び歯並びが悪くなったり、口元が出ていると不満をもったりしてしまうのなら、矯正治療自体の意味はありません。もし、料金や「歯を抜きたくない」という理由だけで、床矯正を選ぶのなら、最初から矯正自体をしないほうが、歯の健康によい場合もあります。

抜歯・非抜歯の考え方

【治療内容】
治療内容:矯正装置を装着して歯を少しずつ動かし、歯並び・口元を整えていきます。
治療期間及び回数:平均的に見て動的治療期間はおおよそ2年が目安になります。/その間、1カ月に1回の感覚で通院いただき、保定期間は1年半から2年半程度/3~6か月に1度通院いただきます。
一般的な治療費概算(自費):約88万円 ※症状や矯正装置によります。

リスク・副作用:
・リテーナーを使用しないと後戻りがあります。・個人差はありますが、初めて装置を付けた時は疼痛や圧迫感などが生じます。
・治療前後の比較で稀に歯根吸収が見られることがあります。
・稀に歯が癒着していた場合、動かないことがあります。
・不正咬合の状況により、歯肉退縮やブラックトライアングルが見られる場合があります。
※ 矯正歯科治療は公的健康保険の対象外の自由(自費)診療となります。

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